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ヘルムレの時計に宝石が使われる理由|精度と美しさを支える小さなルビー
ヘルムレの時計に宝石が使われる理由|精度と美しさを支える小さなルビー
高級時計の世界では、ムーブメントの中に小さな宝石が埋め込まれているのを見たことがある方も多いでしょう。ドイツの名門時計ブランド**ヘルムレ(Hermle)**も例外ではありません。パーペチュアルカレンダーやクロノグラフモデルでは、10個以上のルビーが精密な歯車の中で輝いています。では、なぜヘルムレの時計には宝石が使われるのでしょうか? 本記事では、宝石が果たす役割とその価値、さらに時計愛好家が注目すべきポイントを詳しく解説します。 1. 宝石は装飾ではなく機能部品 ヘルムレの時計に使われる宝石は主にルビーやサファイアです。これらは時計内部の摩擦を減らし、精度を維持するための重要な部品として機能します。 主な配置場所 軸受け(ジュエルベアリング):歯車の回転を支える パレットフォーク:脱進機の動きを滑らかにする ローターやオシレーターの支点:振動の中心を安定させる 宝石は摩耗しにくく、長期間使用しても変形や劣化がほとんどありません。 2. 宝石が果たす4つの役割 (1) 摩耗を防ぐ 金属同士の摩擦では歯車が削れ、時計の精度に影響します。宝石は硬度が非常に高く、軸と歯車の摩擦を最小限に抑えます。 (2) 精度の向上 摩擦が少ないことで歯車の回転がスムーズになり、ヘルムレの時計が高精度を誇る理由の一つとなっています。 (3) 潤滑効果の持続 宝石の表面は油を保持しやすく、潤滑油の寿命を延ばします。これにより、メンテナンスの間隔が長くなり、日常使用でも安定した動作を実現します。 (4) 美的価値 赤いルビーは、ムーブメントの精密機構の中で光を受けて輝きます。時計愛好家にとって、動くルビーの美しさもまた所有する喜びの一部です。 3. ヘルムレの宝石数と時計の品質 一般的な機械式時計では15〜25石程度、複雑なモデルでは30石以上使われることもあります。ヘルムレのパーペチュアルカレンダーやアストロラビウムモデルでは、11石以上のルビーが使われ、精度と耐久性を両立しています。 宝石の数が多いほど「高級」「精密」と感じられますが、実際にはどこに配置されているかが品質のカギです。ヘルムレは摩耗しやすい重要な箇所に的確に宝石を配置することで、高い信頼性を実現しています。 4. まとめ:宝石は精度と美しさの両立... 続きを読む...
時計修理サービス、始めました
時計修理サービス、始めました
– 置き時計、掛け時計、腕時計等、メーカージャンル問わず修理対応いたします – いつもザ・クロックワークスをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。 このたび当店では、お客様からのご要望にお応えし、「時計の修理受付サービス」を開始いたしました。 これまでヘルムレ製品を中心にご対応してまいりましたが、今後はメーカーやジャンルを問わず、掛け時計・置き時計・柱時計、腕時計など、幅広い時計の修理・メンテナンスに対応してまいります。 「大切な思い出の詰まった時計を直したい」 「音が鳴らなくなってしまったけれど、修理できるところが見つからない」 「海外製の時計だけど対応してもらえるのか不安」 そんなお悩みにも、専門の修理職人と提携することで丁寧に対応いたします。 ■ 対応可能な時計の一例 ヘルムレ社製クロック(正規取扱) アンティーククロック(ゼンマイ式) 振り子時計・キュークロック 舶来品の高級置き時計 など 機械式・クォーツ式の腕時計(ブランド問わず) ■ 修理の流れ(簡易版) お問い合わせフォームまたはお電話にてご相談 時計の状態確認(写真などで事前診断) お見積り提示 ご同意後、時計をお預かりし修理開始 修理完了後、ご返送 もちろん、弊社以外からお買い上げ頂きました お時計もこころよく修理対応致します。 大切な時計に再び命を吹き込むお手伝いをさせてください。 一度きりのご購入で終わらない、長く付き合えるパートナーとして。 「時を紡ぐ作品」の価値を守るのが、私たちの使命です。 今後ともザ・クロックワークスをどうぞよろしくお願いいたします。 続きを読む...
クロックは今、どこへ向かうのか? — 世界市場の動向とHermleの魅力について
クロックは今、どこへ向かうのか? — 世界市場の動向とHermleの魅力について
こんにちは。The Clock Works を運営しております小田です。 日々、世界中の時計ブランドの動向を追いながら感じるのは、「時を刻む」という行為が、今も変わらず人の心を打つ行為であり続けているということです。 先日、スイスの高級腕時計ブランド「ユリス・ナルダン」のサイトを眺めていたとき、ふと目に留まったのが「アストロラビウム」。天文をモチーフにしたその美しい機構に思わず見入ってしまいました。…が、その価格を見て驚きました。2,601万5千円。まさに家が一軒建つような金額です。 ただ、Jacob & Co や Cartier のようなラグジュアリーブランドを見渡せば、これが決して特別な価格ではないということにも気づきます。 世界では「時計=高級芸術品」という価値観が、ごく自然に受け入れられているのです。 2. 世界のクロック市場の動向 ■ 高級クロック市場は今、再び注目されている スマートフォンやスマートウォッチが普及した現在において、「時を知る」機能は誰のポケットにも収まっています。 にもかかわらず、世界の高級クロック市場は堅調に成長しています。2024年には世界の高級時計市場全体で511億米ドル規模へと拡大し、中でも機械式クロックやアナログモデルが静かに復調してきているのが特徴です【Statista調べ】。 これは単なるノスタルジーではなく、クラフツマンシップや空間演出としての価値が再評価されている証です。 ■ アナログ回帰と“脱スマホ”のライフスタイル Deloitte の調査によると、欧米を中心に「デジタル疲れ」を感じている人は35%を超え、特に若年層が“アナログな生活”への憧れを強めています。 「美しい音で時を告げるクロック」「空間に静かに存在する時計」そんな感性に訴えかける“時”のあり方が、再び求められています。 ■ 富裕層が求めるのは「スペック」ではなく「ストーリー」 BCGのレポートでは、世界の富裕層が**“Functional Luxury(実用的な贅沢)”より“Emotional Luxury(心に響く贅沢)”**を重視する傾向があると示されています。... 続きを読む...
想いは時を超える ― アンティキティラの機械と現代の天文時計
想いは時を超える ― アンティキティラの機械と現代の天文時計
こんにちは。The Clock Worksの小田です。 今日は、ちょっと不思議でロマンのある“昔話”をひとつ、ご紹介させてください。 皆さんは「アンティキティラの機械」という名前を聞いたことがありますか? これは、今から2000年以上も前の古代ギリシャで作られたとされる、驚くほど精巧な“機械”です。1901年、エーゲ海に浮かぶアンティキティラ島の近く、沈没した古代の船の残骸から偶然発見されました。 錆びついた金属の塊のように見えたそれは、実は――数十個の歯車を組み合わせた複雑な構造を持ち、太陽や月の動き、日食、さらにはオリンピックの開催周期までも予測できる“天文計算機”だったのです。 ※画像は国立天文台HPより抜粋。 最初は“ただの錆びた金属の塊”にしか見えなかったこの物体。ところが解析が進むにつれて、そこには複雑に組み合わされた歯車や、月の満ち欠けを再現する仕組み、さらには日食や惑星の動きまで予測する機能が隠されていたことがわかってきたのです。 ※画像はwikipediaより抜粋。 こちらは、アンティキティラの機械をもとに再構成された内部構造の図面です。ご覧の通り、複数の歯車が巧妙に組み合わさった構造をしており、その精密さは、なんと**現代の機械工学の視点から見ても“非常に高度”**なものだと評価されています。 実際、このレベルの複雑な技術工芸品は、その後およそ1000年間、歴史の中に現れることはなかったのだそうです。 では、誰が、どんな目的でこの機械を作ったのか?あるいは、誰かに作らせたのか? 想像するだけでワクワクしますよね。 現在も研究は続いていますが、実のところ専門家の間でもまだ結論は出ていません。 そんな中、Wikipediaによると、興味深い記述があります。 この機械には“扉のような板”が付いていて、そこには2,000文字以上の説明文が刻まれていたそうです。この説明文は研究チームの間では「取扱説明書」と呼ばれており、それが添えられていることから、この機械は専門家ではない一般の人が使うことを想定していたのでは?という説もあります。 つまりこれは、“機械に詳しくない人でも使えるように工夫された天体時計”――まさに、古代人のための携帯用オーダーメイド天文ガジェットだったのかもしれません。 考えてみてください。遥か昔、星の動きを読み、計算し、設計し、加工して組み上げる――そんな知識と技術を持った人たちがいたという事実。 これはもう、「オーパーツ」(時代にそぐわない高度な技術製品)と呼ばれるのも納得ですよね。 彼らはどんな風にこの機械を使っていたのか。星空を見上げながら、どんな会話をして、どんな思いで暮らしていたのか―― 案外、私たちとそう変わらない日常を生きていたのかもしれません。天気や旅の話をしていたり、季節の移ろいに驚いたり。 そして時は流れ、2000年後。 同じように**“時を読み、宇宙のリズムを形にする”**機械工学の技術が、現代のドイツで結実しました。 それが、時計メーカー**Hermle(ヘルムレ)**のフラッグシップモデル―― **「テルリウム」**です。 この時計は、まさに**“現代のアンティキティラの機械”**とも言える存在。美しいインテリアであると同時に、天体の動きを再現する小宇宙のような存在でもあります。 興味を持たれた方は、ぜひ一度その構造や動きをご覧になってみてください。   🛒... 続きを読む...
時の芸術、月に一度の儀式──Hermle(ヘルムレ)「71013」マンスリー・レギュレーター登場
時の芸術、月に一度の儀式──Hermle(ヘルムレ)「71013」マンスリー・レギュレーター登場
2025年、Hermle社が新たに世に送り出したマンスリー・レギュレーター「71013」は、時計という枠を超えた“アートピース”そのものです。 エレガントな艶出しラッカー仕上げのウッドケースと、全面に面取りが施されたクリスタルガラスが織りなす立体感。その圧倒的な存在感は、設置した瞬間に空間全体の格を一段上へと引き上げます。 時を読む。月を眺める。 ダイヤル上部には、熟練職人の手による立体的なムーンフェイズ球が配されています。これは単なる装飾ではなく、10年にたった1日の修正で済む驚異的な精度を持ち、天体と時をつなぐ存在として、見る者に深い感慨をもたらします。 開発の「静かなる駆動」──Hermle高効率ムーブメント 本モデルに搭載されているのは、Hermle社が新たに開発した高効率ムーブメント。2.5kgという軽量ウエイトで31日間の駆動を可能にしました。 その心臓部には、6つの高精度ミニチュア・ボールベアリングと6石のルビー軸受が使われ、極限まで摩擦を抑えた動力伝達機構が組み込まれています。 さらに、脱進機にはルビーパレット付きグラハム式を採用。その結果、月差わずか数秒という、機械式クロックとしては驚異的な精度を誇ります。一般的な機械式クロックが月差数分の誤差を持つ中で、この性能は群を抜いています。 月に一度だけ、巻き上げるという贅沢。 ぜんまいを巻くのは月に一度だけ。しかしそれがまるで“儀式”のように感じられます。 巻き上げの瞬間は、時間に手をかけるという行為そのもの。静かな動作音と、控えめな振り子の動きによって、空間の静謐さを壊すことなく、気品と格式を添えてくれます。 製品仕様 ・ムーブメント:手巻き式(31日巻) ・脱進機:ルビーパレット付きグラハム式 ・表示機能:ムーンフェイズ(手描き立体球) ・ガラス:全面面取りクリスタルガラス ・サイズ:約W28 × D15 × H94 cm ・原産国:ドイツ(Hermle社製造) The Clock Works 正規直輸入販売店としての誇り 当店は、Hermle社と直接取引を行う日本国内の正規専門店です。通常の販売店と異なり、輸入商社や卸を介さずにお届けすることで、適正価格・信頼性・サービス品質の三拍子を実現しています。 さらに以下の安心をお約束します: ✅... 続きを読む...
【思想と美学】機械式クロックは“合理性”で語るべきものなのか?
【思想と美学】機械式クロックは“合理性”で語るべきものなのか?
──それは、時を愛でる為の美術品である。 こんにちは。世の中が「効率」や「合理性」であふれる現代、あえて問いかけます。 時計とは、“便利な道具”でなければいけないのか? 電池式やスマートクロックが普及し、1秒の狂いもない「完璧な時間管理」が可能な時代。しかし、機械式クロックは──ゼンマイを巻き、重りを吊るし、時に数分のズレさえ許容しながら、あえて“面倒”を抱え込む存在です。 それでも、いや──だからこそ、機械式クロックには“美”が宿るのです。 ■合理性で測れば、機械式クロックは劣等である ・正確さではクォーツに劣る・手間がかかる・メンテナンス費用がかかる・価格も高い こうした尺度で見れば、確かに機械式クロックは“時代遅れ”に映るかもしれません。 しかし私たちは、こう反論します。 “美術品”に対して、合理性の物差しを当てること自体が間違っている。 たとえば絵画。たとえば彫刻。それらに対して「これを飾ることで何分得をするか?」などと問う人がいるでしょうか。 機械式クロックは、“使う”ものであると同時に、“愛でる”ものなのです。 ■“時を刻む彫刻”としての機械式クロック ヘルムレのレギュレータクロックを例にとりましょう。重厚かつエレガントな木製ケース、揺れる振り子、静かに噛み合うギアとテンプ。そこには、工業製品を超えた工芸品としての魂があります。 振り子が1秒ごとに打つリズム。それはまるで、空間に“心臓の鼓動”を生み出すかのようです。 この存在感は、液晶画面に数字を映すだけのスマートクロックには決して到達できません。 ■“手間”とは、愛着の源である 毎週のゼンマイ巻き。時には分針の調整。設置時の水平バランス調整。ひとつひとつの“面倒”が、所有者の手を通じて時間とつながっていく。 効率の対極にあるこれらの行為は、時計との関係性を深める儀式でもあります。ただ時間を知るための道具ではなく、時を“感じる”ための存在──それが機械式クロックです。 ■機械式クロックは、あなたの“感性”を映す鏡 機械式クロックを選ぶという行為は、単なる購入行動ではありません。それは、自分自身の「美意識」や「人生観」と向き合うということ。 ・“便利さ”ではなく“物語”を選ぶ・“価格”ではなく“価値”を感じる・“情報”ではなく“空気”を味わう そんなあなたにこそ、The Clock Worksは機械式クロックという**“時の芸術品”**をご提案したいのです。 ■結論:機械式クロックは、暮らしに“静かな誇り”を与える 合理的であることが正義とされる時代に、あえて非効率で、あえて不便で、あえて高価であるものを選ぶ。 そこに宿るのは、静かな反抗であり、確かな美意識です。 私は信じています。**機械式クロックとは、人生の豊かさを測る“もう一つの物差し”**であると。 The... 続きを読む...