こんにちは。
The Clock Works を運営しております小田です。
日々、世界中の時計ブランドの動向を追いながら感じるのは、
「時を刻む」という行為が、今も変わらず人の心を打つ行為であり続けているということです。
先日、スイスの高級腕時計ブランド「ユリス・ナルダン」のサイトを眺めていたとき、
ふと目に留まったのが「アストロラビウム」。天文をモチーフにしたその美しい機構に思わず見入ってしまいました。
…が、その価格を見て驚きました。2,601万5千円。まさに家が一軒建つような金額です。
ただ、Jacob & Co や Cartier のようなラグジュアリーブランドを見渡せば、
これが決して特別な価格ではないということにも気づきます。
世界では「時計=高級芸術品」という価値観が、ごく自然に受け入れられているのです。
2. 世界のクロック市場の動向
■ 高級クロック市場は今、再び注目されている
スマートフォンやスマートウォッチが普及した現在において、
「時を知る」機能は誰のポケットにも収まっています。
にもかかわらず、世界の高級クロック市場は堅調に成長しています。
2024年には世界の高級時計市場全体で511億米ドル規模へと拡大し、
中でも機械式クロックやアナログモデルが静かに復調してきているのが特徴です【Statista調べ】。
これは単なるノスタルジーではなく、
クラフツマンシップや空間演出としての価値が再評価されている証です。
■ アナログ回帰と“脱スマホ”のライフスタイル
Deloitte の調査によると、欧米を中心に「デジタル疲れ」を感じている人は35%を超え、
特に若年層が“アナログな生活”への憧れを強めています。
「美しい音で時を告げるクロック」「空間に静かに存在する時計」
そんな感性に訴えかける“時”のあり方が、再び求められています。
■ 富裕層が求めるのは「スペック」ではなく「ストーリー」
BCGのレポートでは、世界の富裕層が
**“Functional Luxury(実用的な贅沢)”より“Emotional Luxury(心に響く贅沢)”**を重視する傾向があると示されています。
つまり、
「なぜその時計を選んだのか」
「どんな職人の手で、どんな物語の中から生まれたのか」
そういった**“語れる時計”こそが、真の価値を持つ時代**に入っているのです。
■ その中でHermleが果たす立ち位置
私たちが扱っている**Hermle(ヘルムレ)**も、まさにそうした流れの中で再評価されているブランドのひとつです。
ドイツらしい重厚さと洗練されたデザイン、そして100年以上続く確かな技術力を持ちながらも、
JacobやCartierのような超高級ブランドと比べると、価格帯は比較的抑えられており、
“本物”を日常に取り入れたい方にも手が届く、誠実なラグジュアリーだと感じています。
個人的には、Hermleは**“クロック界のポルシェ”のような存在**だと思っています。
無駄のない設計、機能美、クラフツマンシップ――
その全てが静かに時を刻みながら、持つ人の暮らしに寄り添ってくれるのです。
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