ハワードミラー、クロック事業撤退について思う事。

ハワードミラー、クロック事業撤退について思う事。

皆様こんにちは。

つい先日37.9℃の熱を出して寝込んでた小田です。

いつも体調が悪くなると健康の有難みがわかります。
皆様も体調にはお気を付けください。

さてタイトルの通り、2025年7月、米国の老舗クロックメーカー Howard Miller(ハワードミラー) が事業の終了を発表しました。生産は2025年内に段階的に停止し、在庫販売は2026年まで継続する見通しです。AP News+1

「長い時代の終わり」と「次の時代のはじまり」——この二つを同時に感じています。
2025年7月、米国の老舗クロックメーカー Howard Miller(ハワードミラー) が事業の終了を発表しました。生産は2025年内に段階的に停止し、在庫販売は2026年まで継続する見通しです。AP News+1


何が起きたのか(事実関係の整理)

  • 事業終了の公式発表:創業約100年の同社は、家具部門を含め生産停止と在庫売却による段階的なクローズを公表。地域紙・業界紙・APなど複数メディアが報じています。AP News+2Furniture Today+2

  • タイムライン2025年内に生産停止2026年に在庫販売を継続。従業員向け通知(WARN)も行政に提出されました。FOX 17 West Michigan News (WXMI)+1

  • 背景要因:住宅市場の停滞、インフレ、金利上昇に加え、関税によるコスト上昇が経営を直撃したと説明されています。AP News+2Michigan Advance+2


クロック産業にとっての意味

1) アメリカ発・大型クロックの象徴の空白

ハワードミラーは、米国のフロアクロック(いわゆるグランドファーザークロック)市場を象徴する存在でした。その主柱の一角が消えることで、北米市場の供給と価格は短期的に不安定化しやすいでしょう。中古・デッドストックの価格上昇や、在庫消化に伴うモデルの希少化も起きやすくなります。これらはすでに発表時点から想定された市場反応です。AP News

2) サプライチェーンの再編圧力

機械式ムーブメントの供給源の多角化が一段と重要になります。ドイツの Hermle(ヘルムレ) は引き続き稼働し、ムーブメントと完成品の両方で存在感を保っています。Hermle North America
また、Urgos(ウルゴス) 系ムーブメントについては、現在は主に三針・3ウェイトのフロアクロック用が新規生産の中心で、Hermleによる互換・後継供給が実務上の選択肢として広く扱われています。Clockworks+2Clockworks+2

要するに、「米国ブランドの看板が消える」一方で、「ドイツ発の製造基盤」はなお継続しており、修理・換装による延命の選択肢も残っています。


消費者・小売(リテール)への実務的インパクト

  • 保証と修理:ハワードミラーの新規供給が止まることで、修理・部品調達の重要性が増します。互換ムーブメント(例:Urgos→Hermle)や換装キットの運用ノウハウが価値を持ちます。Clockworks Helpdesk+1

  • 在庫・価格2026年までの在庫販売はあるものの、その後はモデル終息が進むため、コレクション価値再販価値の議論が活発化するでしょう。AP News

  • 選択肢の再設計:機械式に限らず、クォーツ高品質機デザインクロックの補完提案、修理前提の長期運用という価値訴求が、ユーザー体験を補強します(例:ドイツ製の現行モデルでの代替)。Hermle North America+1


産業・文化の視点:なぜ「終わり」と「はじまり」なのか

  • 終わり:ハワードミラーは20世紀の米国におけるクロック文化の象徴でした。地域経済にも深く根差し、長年にわたりグランドファーザークロック=アメリカン・クラフトのイメージを牽引してきた存在です。Michigan Advance

  • はじまり:一方で、残るメーカーや独立系工房は少量高付加価値へ、そしてアフターサービス(修理・OH・換装)を含む長期所有型のビジネスへと軸足を移しています。Hermle のように現行生産と部品供給を続ける基盤は、ポスト・ハワードミラー時代のユーザー体験を支える柱になります。Hermle North America

 


おわりに:時間の文化は終わらない

ハワードミラーの撤退は、ひとつの時代の幕引きです。しかし、時間を愛でる文化は消えません。むしろ少量生産・長期所有・修理循環という次の時代の価値観に、クロックはフィットしています。
私たち小売・修理・輸入のプレイヤーは、「作り手の火を消さない」供給の目利きと、ユーザーの時間に寄り添うアフターケアで、この文化を静かに、しかし力強く継いでいく必要があると感じています。

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