
時計業界の最前線を体感できるイベントとして世界的に注目を集める「ドバイ・ウォッチ・フェア(Dubai Watch Week)」が、2025年もドバイで開催されます。
単なる展示会ではなく、時計文化そのものを称える“知と情熱のフェスティバル”として、近年ますます存在感を高めています。
■ ただの展示会ではない。「語り合う」ための場
ドバイ・ウォッチ・フェアは2015年にスタートし、2025年で10周年を迎えます。
主催は中東最大の高級時計販売グループ Ahmed Seddiqi & Sons。同社は“時計文化を未来へつなぐ”という理念のもと、商談中心ではなく教育・体験・交流を重視した場づくりを行っています。
このイベントの特徴は、ブランドが商品を「売る」ために出展しているわけではなく、
“時計そのものの価値を伝える”ために参加しているという点です。
そのため、来場者は気負いなく、純粋に時計と向き合い、メーカーの哲学や職人の技術をじっくり感じ取ることができます。
■ 2025年の開催概要と新しい試み
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開催期間:2025年11月19日〜23日
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会場:ドバイ・モールに隣接する「Burj Park」
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参加ブランド数:90ブランド以上(2023年比で約1.5倍)
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入場料:無料(事前登録制)
2025年はこれまで以上に規模を拡大し、展示エリアはおよそ20万平方フィート。
また、より多くの人々がアクセスしやすい会場に移されたことも注目ポイントです。
新たに「House of Horology(ハウス・オブ・ホロロジー)」という特設エリアが登場し、
CEOやマスターウォッチメーカーによるトークセッション、教育的なワークショップなどが開催されます。
■ 参加ブランドと注目の傾向
今年は、伝統の名門から新進気鋭の独立系ブランドまで、多彩な顔ぶれが揃います。
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ロレックス、オーデマ・ピゲ、ブレゲ、ショパール、タグ・ホイヤーなど王道ブランドが堂々登場。
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一方で、Kurono Tokyo、De Bethune、Studio Underd0g などのインディーブランドも大きく存在感を示しています。
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「時計×アート」「時計×テクノロジー」といった異分野融合型の展示も多く、
新しい文化的価値の創出を感じさせる構成となっています。
■ 来場前に知っておきたい7つのポイント
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展示よりも対話が主役です
ブランド担当者や職人と話す時間をぜひ確保してください。パンフレットではわからない「背景」「想い」に触れられます。 -
スケジュール管理が重要です
フォーラムや体験型イベントが多数開催されます。興味のあるセッションは事前予約がおすすめです。 -
大手ブランドだけでなく“隠れ名品”も探しましょう
インディーブランドや手作りワークショップの中に、将来の“次のトレンド”が潜んでいます。 -
情報はその場で記録しましょう
時計の写真、会話メモ、名刺などを整理しておくと、帰国後の復習や購入検討に役立ちます。 -
人脈づくりこそ最大の価値です
時計業界は“誰を知っているか”がすべてです。短い会話からチャンスが生まれることもあります。 -
購買意欲は明確に
会場内での販売は少ないものの、イベント後の購入相談に発展するケースも多いです。 -
文化的視点を持つとより深く楽しめます
中東の美意識や職人文化に触れることも、このフェアの醍醐味のひとつです。
■ 過去開催から見る“進化の軌跡”
2023年の開催時には、63ブランド・約23,000人が参加しました。
その際も「商談の場」ではなく「体験と対話の場」として非常に高い評価を受けています。
来場者は新作時計を手に取り、時計師のデモンストレーションを見ながら、
ブランドの哲学を直接聞くことができました。
こうした交流型のイベント構成が、ドバイ・ウォッチ・フェアの大きな魅力となっています。
■ 時計業界の未来を映す鏡として
ドバイ・ウォッチ・フェアは、単なる高級時計の展示会ではありません。
それは、時計産業の**未来を占う“鏡”**のような存在です。
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「見る」「買う」から「語る」「体験する」へと価値観が変化していること。
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アジア・中東市場が世界の中で急速に重要性を増していること。
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インディーブランドが新しい風を吹き込み、業界全体を活性化させていること。
これらの潮流を肌で感じられるのが、ドバイ・ウォッチ・フェアの最大の魅力です。
■ おわりに ― 時計を超えた、文化の交差点
ドバイ・ウォッチ・フェアは、時計が“時間を計る道具”から“人と文化をつなぐ存在”へと進化していることを体感できるイベントです。
ここには、技術・美学・哲学が一堂に会し、世界中の情熱が交差します。
もし時計を「資産」ではなく「人生を映す鏡」として見たい方がいれば、
このフェアは必ずや新たな発見を与えてくれるでしょう。
あなたも、中東に旅行やお仕事で行くタイミングがあれば立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


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